
「考えたこともない」
「まだまだ先のこと」
「その時考えればいい」
このように考えている方が多いかもしれませんが、家族の介護は突然やってきます。
年齢からくる身体的なものだけでなく、認知症や不慮の事故で介護が必要になる場合も。
この記事では、いざという時に困らないために、介護施設の基本から、実際に入居するまでに確認すべきことを、チェックリスト形式でご説明します。
「介護施設」、「失敗しない」をキーワードに、インターネット検索(2021年8月28日時点)で上位20件の情報をもとに、網羅的にまとめましたので、さっそく見ていきましょう。
入居前の確認事項
介護施設を選ぶにあたって、まず何から始めたらよいか分からない方がほとんどだと思います。まずは、入居者の予算や妥協したくないポイントなどの希望条件を優先的に考えましょう。
この章では、施設を選ぶ際に基本となる4点をまとめました。
希望する条件を確認しよう
✓費用
公的施設(運営は自治体や社会福祉法人)か民間施設(運営は主に営利法人)によって、かかる費用には差があります。
所得によって減額制度も利用で切るので、一般的には公的施設の方が割安ですが、入居できる条件も細かく規定があり、待機期間も長くなりがちです。
また、介護保険の適用範囲と自己負担額、日用品などの実費負担額などを確認し、家計に負担のかからない施設を選択しましょう。
✓立地
立地は、「入居者が生活しやすい環境」と、「家族が訪問しやすい場所」であるかどうか、双方の視点から検討する必要があります。
入居者があまり介護が必要ではなく、自分である程度行動できるのであれば、生活しやすい環境を。
そうでない場合は、家族が訪問しやすい場所を優先するとよいでしょう。
施設から緊急の連絡があった場合でも、落ち着いて対応できることも重要です。
✓雰囲気
他の入居者やスタッフの方もいるわけですから、雰囲気は施設によってまちまち。
長い期間を過ごすことになるわけですから、居心地は非常に重要なポイントです。
また、レクリエーションの有無も、1日を快適に送れるかを左右すると思いますので、しっかりとチェックしましょう。
✓医療(リハビリ)体制
急な体調不良やケガの際に、どのように対応してくれるかを確認しておきましょう。
24時間の看護体制は、必ずしも必要ではなく、近隣の協力医療機関などと、どのように連携を取っているかがポイントです。
入居する施設の種類を決めよう

有料老人ホーム
有料老人ホームは、入居者が快適に暮らすことができるよう配慮された、住居の役割もある施設です。
食事の支援や介護サービスなどが受けられます。
有料老人ホームは以下の2つがあり、それぞれの特徴についてみてみましょう。
✓介護付き有料老人ホーム
介護保険法に基づいて運営されています。
24時間、介護スタッフが常駐しており、いつでも介護サービスを受けることができます。
入居一時金と月額利用料を支払う必要のある施設や、月額利用料のみを支払う施設がありますが、介護保険が適用されるので、要介護度によって自己負担額は異なります。
入居者の介護度に合わせて、金額を確認するようにしましょう。
✓住宅型有料老人ホーム
こちらは、介護だけでなく、自立・要支援の方も入居が可能です。
介護をあまり必要とせず、比較的身体が自由に動かせる方が多いので、レクリエーションなどの催し物が充実している傾向がみられます。
サービス内容は、主に入居者の生活支援や健康管理などが中心ですので、介護サービスが必要な場合は、外部の事業者に依頼する必要があります。
料金は、介護付き有料老人ホームと同じく、入居一時金と月額利用料が必要な施設もあれば、月額利用料のみを支払う施設もあります。
しかし、介護保険の適用は外部の在宅サービスを受ける場合のみ利用が可能です。

介護保険施設
介護保険施設は、要介護の認定を受けた方が対象の施設で、3種類の施設に分けられます。
✓特別養護老人ホーム
特別養護老人ホームは、介護の優先度が高い方向けの施設。
「特養」とも呼ばれ、対象者は、要介護3以上の認定を受けた65歳以上の高齢者です。
特別養護老人ホームでは、介護保険が適用されるので、費用面でのメリットが大きいのがポイント。
しかし、入居を希望する方が多くので、入居までの待機期間が年単位となることが難点です。
✓介護老人保健施設
退院後の在宅生活が難しい方を対象に在宅復帰を目指す施設。
「老健」とも呼ばれ、対象者は、要介護1以上の認定を受けた65歳以上の高齢者です。
入居者の在宅復帰を目指した施設なので、ほかの施設に比べて入居期間が短いのが特徴。
理学療法士や作業療法士が常勤して、入居者のリハビリをサポートします。
✓介護医療院(介護療養型医療施設)
介護医療院(介護療養型医療施設)は、医学的管理が必要な、要介護1以上に認定された高齢者向けの施設で、認知症の方も入居が可能。
医師や看護師が常勤しており、専門的な医療サービスを受けられるのが特徴です。
サービス付き高齢者向け住宅
サービス付き高齢者向け住宅は、バリアフリー構造の賃貸住宅。対象者は原則60歳以上で、要介護状態ではない自立している方から、軽度の介護が必要な方までとなります。
主なサービス内容は、入居者の安否の確認と生活相談です。
サービス付き高齢者向け住宅は、介護度が重くなると退去しなければならないところもあります。
グループホーム
グループホームは、認知症の方が、スタッフからのサポートを受けながら共同生活している施設。「認知症対応型共同生活介護」とも呼ばれています。
5~9人を1グループとして、スタッフから介助を受けながら、認知症の進行を遅らせ、自立支援を促すことを目的としています。
情報を集めよう

いろいろと比較・検討するためにも情報収集は納得するまで行いましょう。
ホームページやパンフレットを参考
ホームページやパンフレットには、いろいろな写真が掲載されていますから、事前に施設の雰囲気を知ることができます。
いくつかの候補で迷ったときには、これらを参考に入居者が決めた条件や、メリット・デメリットなど比較しやすいでしょう。
ですが、下記の2点に注意する必要があります。
✓ホームページやパンフレットに掲載されている写真は、あくまで「宣伝」である。
✓掲載されている情報や写真がすべてではない。
掲載されている情報をそのまま鵜吞みにしてしまうと、実際に入居した後に、「こんなはずじゃなかった」ということになりかねません。
経営状況は大丈夫か?
社会福祉法人や自治体しか経営できない特別養護老人ホームと異なり、サービス付き高齢者向け住宅や有料老人ホーム、グループホームは、いろいろな企業が経営しています。
増加の一途をたどる高齢者数に目をつけ、「新しいビジネス」のフィールドとして、異業種から介護分野へ参入する業者が多いのが現状です。
ホームページなどを参考にし、運営会社の詳細を調べたり、実際に見学することも大切です。
✓異業種から参入した業者の注意点
蓄積したノウハウがないため、適切な経営計画が立っていない業者の場合も。
✓在宅サービス事業者が、新規に開業した入所施設の注意点
同じ高齢者福祉サービスでも、入所施設サービスと在宅サービスとはまったく別のもの。運営やスタッフの育成の面での懸念。
✓急速に事業拡大を行っている老人ホームの注意点
資金面での不安や、スタッフの教育に手が回っていない場合も。
見学や体験入居で確認しよう

ホームページや資料だけでは、施設の設備や雰囲気は分からないもの。
入居者にとっては、残りの人生の大半を過ごすになる施設です。
いざ入居して、こんなはずじゃなかったと思わないためにも、実際に訪問して確認しましょう。
疑問点や不明点は、その場ですぐに質問して解決するのが一番です。
また、他の入居者やスタッフの日常が見られますので、昼間に見学するのがおすすめです。
下記のチェックポイントを参考にしてみてください。
設備
✓清掃は行き届いているか?✓騒音、空調設備、臭いなど、快適な環境か?
✓共有スペースは充実しているか?
食事
✓口に合うか?✓苦手、アレルギー食材、医療食などに対応してくれるか?
✓食事回数の変更は可能か?
スタッフ
✓十分な数のスタッフがいるか?✓言葉遣いや対応の仕方など、きちんと入居者とコミュニケーションが取れているか?
✓急な体調不良や、リハビリに対応してくれるか?
環境
✓騒音など周辺の環境は大丈夫か?✓安全に外出しやすいか?(最寄駅までの距離、交通手段、駅までの送迎サービスの有無)
✓地域コミュニティーがあるか、地域とのつながりを持てるか?
介護施設の紹介センター
介護施設を選ぶうえでのポイントをチェックリスト形式で見てきましたが、「それでも専門家の人の意見も聞きたい」という方のために、介護施設の「紹介センター」をピックアップしました。プロならではの視点や、自分では気づけなかった条件など参考になる点も多いかと思います。
まとめ
介護施設の種類や入居する際のチェックポイントを見てきましたが、いかがでしたでしょうか。実際にどの施設に入居するかを決めるポイントは、人それぞれだと思いますが、この記事のチェックリストが施設を選ぶ際に参考になれば幸いです。